高気圧酸素治療室のご案内


概要

高気圧酸素治療とは、通常の気圧より高い圧力環境のもとで酸素を吸入することで、血液中にたくさんの酸素を溶かし体内の酸素濃度を上げる治療です。体内の酸素濃度を上昇させること、高い圧力を体にかけることで、様々な効果が得られます。

血中酸素濃度上昇効果

  • 大気圧下で高濃度の酸素を吸った場合
    血液には酸素はほとんど溶け込まず、主に赤血球によって運ばれるため、100%酸素を吸っても血液中の酸素量の上昇には限界がある
  • 高気圧環境下で高濃度の酸素を吸った場合(高気圧酸素治療)
    高い圧力をかけることで直接血液に酸素が溶けるので、赤血球の数に関係なく、血液中の酸素量を増やすことができる

高い圧力をかけることによる効果

高い気圧をかけることで体内の気体を圧縮し小さくする

当院の高気圧酸素治療

荏原病院では、重点医療の「脳血管疾患」の治療を中心に平成6年10月から高気圧酸素治療を開始しましたが、最近は脳血管障害だけでなく、高気圧酸素治療が有効な疾患に広く治療を行っています。

救急患者では、突発性難聴・網膜動脈閉塞症・ガス壊疽・急性末梢血管障害・脊髄損傷治療などを行っています。近隣医療機関からの依頼で、イレウス、難治性骨髄炎等の治療も行っています。

当院の装置は「第2種装置」と呼ばれている多人数用(6人用)です。
治療中はベッドや椅子で、酸素マスクをして酸素を吸入します。
装置内にはモニターが常備され、重症な患者の場合は医師、看護師が一緒に入って治療することも可能です。
1回の治療時間は90分(通常治療)です。


治療室内の様子

治療にあたってのご注意

治療には酸素を使用しています。事故防止のため、以下のものは持ち込み禁止です

  • 機械類
    補聴器・携帯電話・携帯用音楽プレーヤー・携帯用ゲーム機など全て(本・雑誌は持ち込み可)
  • 白金カイロ・使い捨てカイロ
  • マッチ・ライター等発火物
  • コンタクトレンズ(めがねは持ち込み可)

適応疾患

  • 突発性難聴
  • 骨髄炎又は顎骨壊死
  • 放射線障害
  • 難治性潰瘍を伴う末梢循環障害
  • 脊髄神経疾患
  • 放射線又は抗癌剤治療と併用される悪性腫瘍
  • 重症頭部外傷後若しくは開頭術後の意識障害又は脳浮腫
  • 腸閉塞
  • 皮膚移植
  • 重症軟部組織感染症(ガス壊疽、壊死性筋膜炎)又は頭蓋内膿瘍
  • 急性末梢血管障害
    • 重症の熱傷又は凍傷
    • 広汎挫傷又は中等度以上の血管断裂を伴う末梢血管障害
    • コンパートメント症候群又は圧挫症候群
  • 脳梗塞
  • 重症の低酸素脳症
  • 網膜動脈閉塞症

高気圧酸素治療実績

平成29年度実績
のべ患者数   3,926名

主たる疾患(上位10疾患)

                   
①突発性難聴 1,667名
②骨髄炎または放射線性壊死 652名
③難治性潰瘍をともなう末梢循環障害 321名
④脊髄神経疾患 206名
⑤放射線または抗癌剤治療と併用される悪性腫瘍 138名
⑥脳血管障害、重症頭部外傷または開頭術後の運動麻痺 83名
⑦腸閉塞 80名
⑧重度の急性脊髄障害 56名
⑨皮膚移植 20名
⑩ガス壊疽、壊死性筋膜炎、壊疽性筋膜炎 19名

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