精神科のご案内
特色
荏原病院精神科は、総合病院における数少ない有床精神科として、通常の外来診療やデイケアに加えて開放病棟での入院治療を行っております。また、リエゾン・コンサルテーション精神医療や緩和医療にも積極的に取り組んでおり、身体各科の医療が円滑に行えるよう、専門的ケアを提供しております。
入院治療は、統合失調症、感情障害、不安障害などをはじめとする精神障害全般を対象としますが、開放病棟での入院となるため比較的軽症の患者さんが主となります。医師、看護師、心理士、薬剤師、精神保健福祉士などの豊富で多面的な人的資源に加え、各種の検査や治療に用いる高度な医療機器など、総合病院ならではの恵まれた医療資源を生かした、きめ細かいケアを目指しております。そのような医療を基本としてはおりますが、当科には豊富な臨床経験とノウハウが蓄積されており、重症の患者さんに対応することも可能です。また、総合病院という背景を生かした合併症医療も得意とする領域です。平均在院日数は1か月前後で、短期間での集約的な入院治療を行っております。外来治療は、入院治療と同様に広く精神障害全般を対象としますが、パーソナリティ障害、アルコール・薬物依存、発達障害、てんかん、小児の精神病など、特に専門性の高い分野については他の専門機関に紹介させていただくこともございます。あらかじめご承知おきいただけると幸いです。
荏原病院精神科は、大田区における精神科医療の中心的施設の一つとして、地域の皆様の多様なニーズにお応えするよう、最大限の努力を続けて参ります。心の病で苦しんでおられる患者様、ご家族、地域のケア・プロバイダーの方からのご連絡をお待ちしております。
精神科初診につきまして
精神科を初めて受診された曜日は、その後通院していただく曜日と同じでない場合がございます。ご不便をおかけすることもあろうかと存じますが、よろしくご理解のほどお願い申し上げます。
最近のトピック
- 2020/4
- うつ病に対するrTMS治療(6週間の入院治療)を開始しました。
以下の専門外来のご案内をご参照ください。 - 2021/5
- 精神科デイケアは現在、規模を縮小して活動しておりますが、院外からの患者さんの新規受け入れは、今後のコロナの状況に応じての再開となります。詳細はお問い合わせください。
- 2021/9
- 入院治療の一環として光線療法を導入しました(COVID19後の抑うつ~疲弊状態の遷延に有効という報告があります)。
- 2021/10
- シニアレジデントを3名採用しました。
- 2021/12
- 精神科デイケアでは、院外からの患者さんの新規受け入れを再開しました。
詳細についてはお問い合わせください。 - 2021/12
- 荏原病院におけるうつ病・認知症治療について掲載しました。
「品川区・大田区こころの支援マップ」公開のご案内
医療機関や患者さま、またはご家族など、誰でも手軽に地域の病院やクリニックの診療情報を検索できるウェブサイト「品川区・大田区こころの支援マップ」を作成いたしましたので、公開させていただきます。
「品川区・大田区こころの支援マップ」公開のご案内[PDF]
<URL> https://so-kokoromap.com
- 精神疾患名や専門領域を入力することで、近隣で精神科・心療内科を標榜する医療機関の中から、その疾患を得意とする医療機関の情報をパソコンやスマートフォンで簡単に検索することができます。
- 精神疾患を持つ患者さまやそのご家族が、身近な場所で受けたい医療を探して、心から満足できるケアを手に入れるためのサポートツールとしてご活用ください。
精神科デイケアについて
当院には、首都圏における総合病院には珍しく精神科デイケアが併設されており、地域の患者さんに理想的な治療環境を提供することが可能となっております。当院のデイケアは早期退院と社会復帰の促進を円滑に行うためのプログラムとして位置づけられ、1日30人を限度とする小規模デイケアとなっております。
詳細は、下記リンクより、ご案内、もしくはパンフレットのPDFをダウンロードしてご覧ください。
外国語での診察について(English available on Tuesday and Thursday)
火曜日の新患のみ、英語での診察が可能となっております。予約センターにその旨をお伝え頂いたうえでご予約ください。外国語での診察が可能な医師は限られておりますので、診察まで多少お待ちいただくこともございます。あらかじめご承知おきください。
専門外来のご案内
- PSD外来
- クロザピン専門外来
- うつ病・認知症の治療
- うつ病治療
- 認知症の治療
- 大人の発達障害外来
- デイケア初診外来
- rTMS(反復経頭蓋磁気刺激療法)の導入について
予約についての詳細は下記専門外来のご案内ページをご覧ください。
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○【脳梗塞・脳出血後のうつ病(Post Stroke Depression; PSD)専門外来について】
脳血管障害を罹患した患者さんが脳梗塞・脳出血後のうつ病(Post Stroke Depression; PSD)を発症することは一般にあまり知られておりませんが、40%近くもの患者さんが抑うつ状態になると報告されています。PSDを放置すると、QOL(生活の質)が大きく低下することに加え、リハビリなどに対する意欲も低下するため、長期的な予後(治療成績)が悪くなります。さらに、生命予後まで悪くなる(寿命が短くなる)ことが知られています。
当科部長は米国で10年以上にわたってPSDの臨床および研究に従事して、国内外で多くの患者さんのケアをしてまいりましたが、当院におきましてもPSDの専門外来を開設しております。
PSDと思われる患者さんのご家族、担当医の先生、もしくは脳梗塞・脳出血後に“なんだが元気が出ない”と感じ、専門的な治療を希望しておられる方、是非当科にご相談ください。
<Selected References>
1.Br J Psychiatry. 2007 Mar;190:260-5. Effect of antidepressant therapy on executive
function after stroke. Narushima K, Paradiso S, Moser DJ, Jorge R, Robinson RG.
2.Am J Psychiatry. 2003 Jun;160(6):1157-62. Does cognitive recovery after treatment of
poststroke depression last? A 2-year follow-up of cognitive function associated with
poststroke depression. Narushima K, Chan KL, Kosier JT, Robinson RG.
荏原病院では特殊な疾患を除く精神科疾患を広く扱っておりますが、うつ病と認知症の治療には、特に力を入れております。我々が日常行っている治療の内容につきまして、手短に説明させていただきます。
○【荏原病院精神科でのうつ病治療について】
一般に、うつ病の入院治療は、1)抗うつ剤を主体とする薬物療法、2)mECT(修正型電気けいれん療法)を代表とする身体的療法、さらに、2)分析的精神療法や認知行動療法などのいわゆる精神療法を組みあわせて行います。当科のうつ病の入院治療の特徴につきまして、以下に紹介させていただきます。
<薬物療法について>
当科に入院したうつ病の患者さんは、最新の知識を導入した薬物療法を受けることができます。処方は医師が行いますが、向精神薬(精神科領域で使われる薬)を熟知した薬剤師が病棟に常駐しており、患者さんと直接面談して実際の処方薬に関する情報を提供したり、服薬の効果や副作用など医師を交えて確認~相談したりすることができます。病状や治療の必要性によりますが、より強い治療である点滴による抗うつ剤の投与を行うこともあります。こういったプロセスを細かく調整して繰り返すことで、すべての入院患者さんに教科書的な画一的処方ではなく、個人のニーズにあわせたオーダーメイドで洗練された薬物療法を提供することができます。
<身体的治療法について>
当院はうつ病に対する豊富なmECT治療の経験を有しており、都内でも有数の治療機関です。例えば身体合併症を持つ症例の場合でも、必要があれば、ほとんどの場合mECTによる治療が可能です。mECTは、麻酔科医による全身麻酔下に手術室で中枢神経に通電する治療法であり、その有効性は非常に高く、副作用はごく稀にしか生じません。治療は外来ではなく入院を要し、週に2~3回の頻度で行われるため、入院期間は1か月前後になります。
一定の条件を満たす患者さんに限りますが、rTMS(反復経頭蓋磁気刺激療法)による治療を受けることもできます。高規格の病棟を持つ限られた病院でしか施行できない治療であるため、この治療が保険で可能な医療機関は2021年現在、国内では約30施設しかありません。この治療は麻酔を要さない、電気ではなく磁気による中枢神経の刺激法であり、日本では2017年に承認されたばかりです。当科のrTMS療法の導入は都内でもかなり早く、複数の患者さんが治療を受けて良好な治療成績を収めています。rTMSはmECTとは違って麻酔を用いる必要がないため、手術室ではなく病棟で施行することができ、治療前に投薬の必要はありません。治療効果はmECTとほとんど同等ですが、1回の治療に1時間ほどかかり、週に5日間毎日、それを6週間続ける必要があります。現在コロナ禍が収束していないため、感染対策の必要から入院患者さんは自由に外出や外泊をすることができません。そのため、この治療は外出泊なしで長期間入院することに同意された方にのみ提供させていただいております。
最近当科でとり入れた身体的治療法として、光線療法があります。光線療法は1980年代にアメリカで確立された治療法で、最近の大規模な研究でもその有効性が確認されています。朝方5000ルクス以上の光線を30分前後顔面に照射することでうつ病を治療しますが、治療を毎日30分程度、1週間以上続けることで治療効果が表れますが、副作用はごくまれであるため、患者さんの希望があれば入院中毎日治療を受けることができます。ECTやrTMSを施行中の患者さんもこの治療を受けることが可能です。
<精神療法について>
精神療法は、多くの場合治療効果が出るまでに数週から数か月間の時間を要する繊細な治療方法になります。うつ病の入院治療は、方法によらず比較的短期間で終了するため、例えば精神分析的な精神療法など、入院期間中に特定の方法論に則った精神療法を始めることは一般的ではありません。外来で医師または心理士による精神療法を行っている患者さんの場合は、入院中も望ましい環境で治療を継続することができますが、そうではない患者さんの場合は、担当医による頻回の面談(いわゆる小精神療法<心理教育に近い側面を持つ、特定の方法論に依らない基本的な精神療法>)でケアさせていただくことになります。なお、病棟では看護師と心理士がリードする集団精神療法が定期的に行われており、希望する患者さんはどなたでも参加することができます。
当科におけるうつ病の治療は、十分な教育と訓練を受けた医師が看護師、薬剤師、心理等のスタッフと緊密に協力しながら最新の治療機器を駆使して行われています。看護スタッフの能力と意欲が高いことは特筆されるべき点です。当科は閉鎖病棟ではなく、内科病棟等と同じ構造の解放病棟で、入院することに対する心理的な障害も決して高くはないですし、そのように工夫された構造になっています。以上のように、当科では、薬物療法、身体的治療、精神療法を組み合わせた、密度の高い、高度に洗練されたうつ病の治療を行っております。
<脳機能検査について>
もう一つの特徴として、当科では、うつ病の入院治療中に、いわゆる“脳ドック”を受けることができます。当科は総合病院の中の精神科であり、豊富な医療資源に恵まれているため、様々な検査をする準備が整っています。希望があれば、入院中にうつ病の治療を受けながら、採血、尿、レントゲン、心電図等の一般的な検査に加えて、脳のMRI、脳波、脳血流、その他の核医学検査等の高度な機材を用いた検査と放射線科専門医による評価に加え、心理士による詳細な認知機能の検査を受けることができます。ご希望があれば画像等の検査結果をお持ち帰りいただくことも可能です。
○【荏原病院精神科での認知症の治療について】
2020年の65歳以上の高齢者の認知症有病率は16.7%、約602万人となっており、6人に1人の方が認知症になると言われています。認知症には様々な原因があり、当科では認知症発症の予防や認知症の診断・治療、認知症との付き合い方、ケアの仕方などについて、最適と思われるサポートをさせていただいております。
<認知症の診断について>
よく知られている認知症にはアルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症などがありますが、それら以外にも様々な認知症があり、代表的なものとして、脳炎や硬膜下血腫、正常圧水頭症、甲状腺機能低下症など身体疾患による認知症などが挙げられます。当院では通常は認知症の専門外来で診断をつけますが、より詳しい検査をするために日帰り入院をすることもでき、血液検査、頭部MRI、脳血流SPECT、脳波、心理士による詳細な心理検査などを行うことで、正確な診断を下すことが可能となっています。さらに専門的な検査が必要な患者さんの場合は、脳ドパミントランスポーターシンチグラフィー、MIBG心筋シンチグラフィー、髄液検査などの特殊な検査を行うこともあります。
<認知症の精神症状について>
認知症の精神症状は、中核症状と周辺症状と呼ばれる症状に分かれています。中核症状は皆さんがご存じの認知機能障害、いわゆる“物忘れ“のことを指します。一方、周辺症状は中核症状があるために生じる症状とされており、英語の略称でBPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)と呼ばれています。具体的に述べると、中核症状は記憶障害や日付・時間・場所がわからなくなる見当識障害、判断力・理解力の低下、計算障害、日々できていたことができなくなる実行機能障害、さらに失語、失行などのことを指します。周辺症状としては、ありえないものが見えたり聞こえたりする幻視や幻聴、また、事実ではないことを確信している妄想などが代表的ですが、認知症を発症したためにうつ病のようになったり、心配しがちになったり、怒りっぽくなったりすることなどもあり、こういった変化もBPSDと呼ばれます。これらの様々な症状に対し、当科では、非薬物療法、薬物療法、適切なケア、検査などを各々の患者さんの状態に細かく合わせたオーダーメイドの提案をさせていただいております。我々は、患者さんやご家族がより良い生活を無理なく送れるよう、常に最善を尽くすことをお約束します。
<認知症の治療について>
認知症の患者さんを治療するにあたり、多くの場合、非薬物療法、薬物療法、適切なケアの3つの方向から治療を考えていきます。
中核症状への非薬物療法としては、体操・ヨガなどを取り入れた定期的な運動、クイズや計算などの認知機能トレーニング、社会的な活動や人との交わりなどが重要と考えられています。また、認知機能の低下に対して予防効果があるとされている集団精神療法も、当科では積極的に導入しており、今後さらに発展させていく計画をたてております。その他、代表的な治療として、患者さんに昔懐かしい事物を眺めてそれについて話し合っていただき、脳に刺激を与えて豊かな感情を保つ回想療法や、精神の内面を安定させるための音楽療法(演奏、合唱など)・芸術療法(絵画、粘土細工、映画鑑賞など)などがあります。また認知症の進行を遅らせるために重要となる予防法についても患者さんが必要とする場合は、ご家族に細かくアドバイスさせていただいております。
周辺症状に対しては、上記したような非薬物療法を十分に試してから薬物療法を行うと治療の効果が上がりやすいといわれています。家族や周囲の援助者の工夫で、病状が大きく改善することも珍しくないため、周辺症状の原因を考え、患者さんの気持ちをよく理解してケアや環境整備に臨むことが重要です。
皆さんが大きな期待を寄せている薬物療法についてですが、認知症の中核症状に対する根本的な治療薬は、残念ながら存在しません。しかし現在の医療でも、中核症状をある程度緩和したり、認知症の進行や再発を抑えたりすることは十分に可能です。また、不眠・不安・イライラ・幻覚妄想・うつ病など、BPSDの様々な症状に対する薬物療法としては、副作用の出にくい睡眠薬や漢方薬、抗精神病薬、抗うつ薬、抗てんかん薬などが使用されます。高齢者は薬物に対する反応が通常とは異なることが多いため、適切な投薬をするためには、専門的な知識と経験が要求されます。また、身体疾患に対する投薬によって中核症状や周辺症状が修飾されたり悪化したりすることも珍しくないため、患者さんが受けている医療全体を詳細に把握したうえでの薬剤調整が重要です。
<認知症の患者さんの理解、適切なケア>
「認知症になると何もかも分からなくなってしまう」というのは大きな間違いです。認知症が進行するにつれ、出来事自体は忘れてしまうとしても、その出来事にまつわる感情は心に蓄積されていくと言われています。自分の感情を言葉で上手く伝えることはできなくなるかもしれませんが、「うれしい」「楽しい」「悲しい」「イライラ」などの感情の多くは心の中で保たれています。ですから、認知症の患者さんをケアする際には、患者さんの感情を深く理解したうえで向き合っていくことが重要です。
患者さんの日常生活能力は認知症の進行によって徐々に低下し、今まで難なくできたことができなくなっていくため、家庭や社会での役割を失うなど、深い喪失感を感じて苦しむ方が多くなっていきます。患者さんによっては不安やいら立ちが生じやすくなり、ちょっとした出来事や家族の何気ない一言で怒りの感情が容易に惹起されて爆発するようなことも珍しくありません。そういった状況や患者さんの感情を理解して、できないことが増えてきても“何もできない”と決めつけるのではなく、失われた能力をさりげなく補ってあげるように適切なケアができるように心がけてください。家事、趣味活動、日常生活動作などを継続的に維持するためのケアを状況に応じて柔軟に行っていくことで、認知症の患者さんに嬉しさ、楽しさ、達成感などの豊かな感情を持っていただき、自らの存在価値を高めるように導くことが心身ともに健康な状態を保つことにつながります。
言うまでもないことですが、認知症患者さんの毎日のケアや介護を続けることはご家族にとって非常に大きな負担になります。我々は、介護保険が適用される、デイサービスやデイケア、ショートステイなどの利用をお勧めしており、経験豊かな精神保健福祉士が地域の具体的な施設等の情報を提供するなど、ご家族のお手伝いをいたします。これらの施設では、非薬物療法としてのレクレーションやリハビリテーション、入浴サービス、食事などが提供され、介護士、看護師、理学療法士などからの専門的なアドバイスも受けることができます。家庭での援助が必要な患者さんの場合は、訪問看護師、往診医、訪問リハビリテーション、訪問薬剤師、ヘルパー、配食サービスなどの選択肢があり、それらのサービスの導入を我々がお手伝いいたします。
このように、当科では認知症の患者さん一人一人に対してじっくりと向き合い、内面の理解に努め、医学的な治療にとどまることなく、各々のご家族の置かれた社会的な状況を鑑み、最善と思われるケアのアドバイスや必要なサービスの導入の提案など、患者さんやご家族に“全人的な治療”を提供できるよう努力しております。
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○【クロザピン専門外来について】
当科では治療抵抗性統合失調症に対する特別な治療薬として認可を受けているクロザピンによる治療を行っています。
クロザピンは、治療抵抗性の統合失調症の最終選択薬といわれています。治療抵抗性の統合失調症とは、(1)複数の抗精神病薬を十分量・期間投与したにもかかわらず、効果が得られない反応不良症例、(2)副作用発現により治療に必要な用量まで投与できない耐忍性不良症例のことを言います。
クロザピンは非常に高い治療効果を持ちますが、稀に重篤な副作用が生ずるため、治療開始時には18週間の入院治療を行うことが定められています。また、治療を受けるにはいくつかの条件を満たさなければならず、例えば糖尿病や血液疾患をお持ちの方は治療を受けられない可能性があります。また、副作用の予防のため治療開始から26週は毎週、それ以降は隔週で採血を受ける必要があります。
当外対象となるかどうかは医師が詳細な診察を行った上で判断します。これまで内服した薬剤の種類や量の情報(担当の先生からの紹介状やお薬手帳など)を用意したうえで受診をご相談ください。
【参考】製薬会社による治療薬紹介
http://www.clozaril.jp/
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○【大人の発達障害外来について】
当科では、地域からのご要望にお応えするために、“大人の発達障害”の専門家をお招きしています。
“大人の発達障害”は、比較的新しい疾患概念であり、その診断や治療は確立されているとはいえません。
ですから診断を適切に下し、必要な支援につなげるためには、専門的な知識と技術が要求されます。
当科では、発達障害の専門家が、臨床心理士や精神保健福祉士などと連携することで、 可能な限り良質な支援を提供するための体制を整えました。
診療には時間がかかりますので、月曜日午後に限られた人数の診療となります。
予約専用の番号03-5734-5489にお電話いただき、“大人の発達障害”の外来希望、とおっしゃってください。
大変恐縮ですが、診療情報提供書をお持ちでない初診患者さんにつきましては、 初診にかかる費用(保険外併用療養費)として別途「非紹介患者初診加算料」をご負担いただくこととなりますのでご了承ください。
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○【デイケア初診外来について(地域の医療機関の先生方へ)】
当院デイケアの利用を希望される患者さんを募集しております。
現在通院中の病院・クリニック・主治医を変更しなくても、デイケアのみの利用が可能です。デイケア利用開始前に一度だけ、毎週金曜の午前11時にデイケア担当医師が行うデイケア初診外来で評価を受けていただく必要があります。
ご予約の際は、主治医より、地域連携室(03‐5734‐7027)に“デイケア初診外来希望”とおっしゃっていただければ、優先的に予約をお取りします。デイケア担当医宛ての簡単な紹介状の作成をお願いいたします。患者さまご自身で予約をお取りになる場合は、予約センター(03‐5734‐5489)までお電話ください。
デイケアの詳細につきましては、上記、「精神科デイケアについて」をご覧ください。
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○【rTMS(反復経頭蓋磁気刺激療法)の導入について】
2008年に米国でrTMSによるうつ病の治療が承認されました。日本では2017年に承認され、一定の基準を満たすうつ病の患者さんに限って治療を行うことが可能となりました。
高規格の病棟を持つ限られた病院で、6週間の入院を前提に、トレーニングを受けた精神科専門医が治療に携わるよう定められているため、条件を満たす医療機関は2020年4月現在、約150施設しかありません。
荏原病院では、部長の成島が米国で長年rTMS研究に携わっていたこともあり、2020年春から保険医療としてrTMSを施行する環境を整えることができました。治療には非常に時間がかかるため、同時に多くの患者さんをケアすることは不可能ですが、rTMSを希望するうつ病患者さんのために最善を尽くす所存です。
予約センター(03-5734-5489)までお電話いただき、“rTMS希望”、とおっしゃっていただいた上で、成島の初診に予約を取ってください。
<Selected References>
1. J Neuropsychiatry Clin Neurosci. 2010 Winter;22(1):75-84. Subgenual cingulate theta activity predicts treatment response of repetitive transcranial magnetic stimulation in participants with vascular depression.Narushima K, McCormick LM, Yamada T, Thatcher RW, Robinson RG.
2. Biol Psychiatry. 2004 Feb 15;55(4):398-405. Repetitive transcranial magnetic stimulation as treatment of poststroke depression: a preliminary study. Jorge RE, Robinson RG, Tateno A, Narushima K, Acion L, Moser D, Arndt S, Chemerinski E.
診療実績
【入院・外来別患者数(平成30年度)】
入院患者 | 8,090名(延入院患者数) |
---|---|
外来患者 |
新患 588名 再来 12,303名 |
【代表的疾病(上位5位)(平成30年度)】
順位 |
病名 |
患者数 |
---|---|---|
1 | 統合失調症 | 54 |
2 | アルツハイマー型認知症 | 45 |
3 | その他の認知症 | 42 |
4 | うつ病 | 39 |
5 | 双極性感情障害 | 20 |
スタッフ紹介
医師名 | 専門分野 | 資格 | |
---|---|---|---|
◎部長 | なるしま けんじ 成島 健二 |
臨床精神医学一般 感情障害 |
精神保健指定医 日本精神神経学会 精神科専門医・指導医 日本総合病院精神医学会 リエゾン精神医学 専門医・指導医 医師会認定産業医 厚生労働省臨床研修指導医 医学博士 東京医科歯科大学臨床教授 米国アイオワ州医師免許 アメリカ精神医学会 インターナショナルフェロー |
医長 | ふくしま やすひろ 福島 康浩 |
臨床精神医学一般 老年精神医学 |
精神保健指定医 日本精神神経学会 精神科専門医・指導医 日本認知症学会 専門医・指導医 日本老年精神医学会 専門医・指導医 |
医員 | やの みきいちろう 矢野 幹一良 |
臨床精神医学一般 | |
医員 | こうの やすよ 河野 靖世 |
臨床精神医学一般 | |
医員 | みねむら あかり 峰村 明里 |
臨床精神医学一般 | |
シニア レジデント(S3) |
おおたけ まお 大竹 眞央 |
臨床精神医学一般 | |
シニア レジデント(S3) |
おがた こうへい 緒方 浩平 |
臨床精神医学一般 | |
シニア レジデント(S3) |
こんどう まひろ 近藤 真央 |
臨床精神医学一般 | |
シニア レジデント(S2) |
なかくぼ きいちろう 中久保 喜一郎 |
臨床精神医学一般 | |
シニア レジデント(S2) |
ひらた ももこ 平田 百萌子 |
臨床精神医学一般 | |
シニア レジデント(S2) |
ほん りびんぐすとん 洪 リビングストン |
臨床精神医学一般 | |
シニア レジデント(S1) |
ほかり しょうたろう 帆刈 正太郎 |
臨床精神医学一般 | |
シニア レジデント(S1) |
なかで あさみ 中出 麻美 |
臨床精神医学一般 | |
シニア レジデント(S1) |
むらた さくら 村田 さくら |
臨床精神医学一般 |
◎は、連携担当医師です